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遺留分を請求された場合の対応について

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2025年5月1日

1 すぐに弁護士にご相談を

遺留分を請求された場合、まずは、弁護士にご相談された方が良いでしょう。

弁護士に相談せず、ご自身の判断で対応してしまうと、本来は、遺留分を支払わなくても良いのに遺留分を支払ってしまったり、支払う遺留分の金額が減額できるのに高い金額のまま支払ってしまったりする可能性があります。

実際、弁護士に相談することで、遺留分を減額できる可能性もあります。

以下では、実際に遺留分を減額できるポイントや遺留分を支払えない場合の対処方法(期限の許与)についてご説明します。

2 遺留分を減額できるポイント

遺留分を請求された場合、遺留分を減額できるポイントはいくつかあります。

⑴ 不動産の評価額

遺産に土地、建物などの不動産がある場合、不動産の価額を下げることによって、遺留分の金額を下げることができる場合があります。

たとえば、遺産に自宅があった場合、当該自宅の価値を時価で評価するのか、固定資産税評価額で評価するのか、また、更地価額として評価するのか等によって、自宅の評価額が変わり、それによって遺留分の金額も下がる可能性があります。

具体例として、自宅の建物が老朽化し、雨漏り等をしている場合、「建物の時価は0円であり、更地評価が適切である」などと主張して、自宅の価値を下げることができる場合があります。

⑵ 遺留分請求者への生前贈与

被相続人が遺留分請求者に生前贈与をしている場合、遺留分を請求された側としては、当該生前贈与の事実を主張することで、遺留分を減額できる可能性があります。

ここで注意点として、遺留分を請求する側の生前贈与については、10年間という期限はなく、何年前にされた生前贈与であっても、遺産の前渡しとして評価できるものであれば、遺留分を減額する要素となります。

たとえば、被相続人が遺留分を請求する相続人に15年前に1000万円を贈与していた場合、遺産の前渡し(特別受益)として評価される場合は、遺留分請求額から当該1000万円が減額されることになります。

⑶ 負債について

被相続人の医療費や介護費、固定資産税等について、相続開始後に支払ったものについては、遺留分の計算上、減額することができます。

たとえば、被相続人の医療費として20万円がかかり、被相続人の死後に、遺留分を請求された人が支払っていた場合、当該20万円については遺産額から控除されることになるため、結果として、遺留分額を下げることが可能となります。

これらの負債額については、そこまで大きく遺留分を下げる要素となることはありませんが、それでも数万円から数十万円程度は遺留分を下げられる場合があります。

3 どうしても支払えない場合は期限の許与の申立てをする

⑴ 期限の許与とは

遺産に預貯金や株式などが少なく、不動産も売却が難しい場合で、かつ、多額の遺留分を支払わなくてはならない場合、遺留分を請求された側としては、裁判所に期限の許与を求めることができます。

そもそも、遺留分を支払う場合、基本的に、全額を一括で支払う必要があり、また、請求されてから年3%の利息も支払う必要があります。

たとえば、遺留分額が2000万円の場合、請求されてから3年を経った後だと、元金2000万円の他に、遅延損害金として180万円の合計2180万円を一括支払う必要があります。

仮に一括で支払えない場合、遺留分を請求される側から、「分割で支払いたい」と申し出たとしても、遺留分を請求している側がこれを拒絶した場合は、分割払いは認められず、全額を支払うまで遅延損害金が発生し続けることになります。

そうなってしまっては、遺留分を請求された側としても困ってしまうため、法律上、期限の許与という制度が設けられました。

⑵ 期限の許与の効果

裁判所で期限の許与が認められた場合、遺留分を支払う期限が延期され、また、その間の遅延損害金も支払わなくてよくなります。

⑶ 期限の許与の条件

期限の許与については、無制限で認められるわけではなく、たとえば、遺産の多くが換価困難な不動産や非上場の株式である場合や金銭を贈与された場合であっても相当期間が経過したため残存していない場合などです。

そのため、遺産に遺留分を支払えるだけの預貯金や上場株、換価が可能な不動産がある場合は、期限の許与が認められない可能性がありますので、注意が必要です。

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