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遺留分とは?遺留分が問題となる具体例を紹介

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2026年10月21日

1 遺留分とは

⑴ 遺留分とは何か

遺留分とは、被相続人が有していた相続財産について、最低限取得できることが保障されている持分的な利益のことをいいます。

民法は、被相続人が有してた相続財産について一定の割合の遺留分を取得できることを制度として保障しています。

遺留分は、主に遺言書が存在するケースにおいて問題となります。

⑵ 遺留分権利者

遺留分権利者は、相続人のうち、被相続人の配偶者、子、父母までとなります。

他方で、被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。

具体的には、被相続人の子が被相続人よりも先に亡くなっている場合は、被相続人の孫が代襲相続人となりますが、代襲相続人である孫も遺留分権利者になります。

被相続人の父母の両方が被相続人よりも先に亡くなっている場合も、(存命であれば)被相続人の祖父母が相続人となりますが、このような祖父母も遺留分権利者になります。

また、被相続人の子がいないまたは死亡しているけれども代襲相続人も存在せず、さらに被相続人の父母や祖父母も存命ではない場合、被相続人の兄弟姉妹が法定相続人となるとされていますが、被相続人の兄弟姉妹は遺留分権利者にはなりません。

なお、遺留分権利者から権利譲渡を受けた人や遺留分権利者から相続した人も、原則として新たに遺留分権利者になることができます。

⑶ 遺留分の割合

遺留分の割合は、法定相続分によって異なります。

例えば、相続人が配偶者と子2人の場合、配偶者の法定相続分は2分の1、子は2人いるので、子の法定相続分はそれぞれ4分の1(子の法定相続分2分の1×2分の1)となります。

遺留分の割合は、配偶者が4分の1(2分の1×法定相続分4分の1)、子は8分の1(2分の1×法定相続分4分の1)となります。

2 遺留分を請求する方法

遺留分の請求は、相続発生後いつでもできるというわけではありません。

遺留分を請求できることを知ってから、1年以内に請求を行う必要があります。

請求方法について、法律上は定められていないため、口頭で遺留分の請求をする意思を伝えるだけでもよいとされていますが、後になって、「遺留分の請求を受けていない」と主張されてしまうと、遺留分の請求が認められなくなってしまう可能性があります。

そこで、遺留分の請求を期限内にしたことの証拠を残すために、内容証明郵便で、遺留分を請求する意思表示をするのが一般的です。

3 遺留分の算定

次に、遺留分について交渉を始めるにあたり、請求金額を確定させる必要がありますが、遺留分の金額を決めるためには相続人の人数の確定と、相続財産の調査が必要になります。

相手方の協力が得られない場合は、請求する側で調査をしなければならず、時間がかかります。

相続財産調査をしている間に、遺留分の期限が過ぎてしまうことがあるので、先に遺留分を請求する意思表示をすることが重要です。

遺留分を算定する対象となる財産には、①被相続人が相続開始の時において有した財産、②相続開始前1年以内に贈与した財産、③債務の全額、④過大な死亡保険金があります。

4 遺留分が問題となる具体例

具体例① 愛人・内縁の配偶者への全財産遺贈

夫が「全財産を愛人に遺贈する」という遺言を残して死亡した場合、法律上の妻と子には遺留分があるため、愛人への遺贈によって遺留分が侵害されます。

この場合、妻と子は愛人に対して遺留分侵害額請求を行い、金銭での支払いを求めることができます(民法1046条)。

具体例② 特定の子への全財産相続

「長男に全財産を相続させる」という遺言があった場合、他の子(次男・長女など)の遺留分が侵害されます。

たとえば、子が3人いる場合、各自の遺留分は法定相続分(1/3)の半分である1/6となります。

次男・長女はそれぞれ長男に対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できます。

具体例③ 生前贈与による遺留分侵害

遺言がなくても、被相続人が生前に特定の相続人や第三者へ多額の贈与を行っていた場合、その贈与が遺留分算定の基礎財産に加算されることがあります。

たとえば、死亡前に長男へ不動産を贈与していたケースでは、その不動産の価額を相続財産に加えて遺留分を計算し、他の相続人が侵害額を請求できる場合があります。

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